2013年8月9日金曜日

「和菓子のアン」坂木司


立秋が過ぎました。
まだまだ暑いけれど、だんだん夏の気が落ち着いてきて、空気も違って感じます。
 
 
秋の声を聞くと、なぜか和物に関心が向かってしまいます。
和紙のお手紙セットや、秋の柄の手ぬぐい。
一番、日本情緒が感じられる季節だからでしょうか。
季節の中でも、秋は特別です。
 
今年の関心事は、和菓子。
その昔、甘いものが苦手でした。
着物を着るのが好きで、お茶を習いたかったのですが、
抹茶と和菓子が苦手なので断念したこともあります。
 
年齢を重ねると、味覚も変わるのですね。
ようやく和菓子のおいしさがわかるようになりました。
 
 
 
「和菓子のアン」は、ハードカバーの時から本屋さんに平積みされていた人気小説です。
商店街育ちの女の子。高校を卒業して、進学も就職もせず、1ヶ月。
デパートの地下にある高級和菓子店「みつ屋」にバイトで働き始め、そこから約1年間のお話。
 
ライトノベルというのかしら。
小説というには軽くて浅い。
気分転換に軽いものを読みたいときに、よさそうです。
ミステリだけど、誰も死なないし。
 
驚いたのは和菓子の奥深い魅力の数々。
旧暦や和菓子の名前にまつわる物語、意味。
和菓子をつくる際の発想の柔軟さ。
 
昔からある伝統の和菓子はちょっとお値段がはるから、 
つくり方にはガチガチの決まりで縛られているのかと思っていました。
全然違うのですね。
もちろん技術は伝統的な技法が守られているのですけど、
身近な材料を使って、柔軟にモチーフをつくって組み合わせる。
とっても自由な世界がありました。
 
七夕をかたどったお菓子なんて、想像するだけでも素敵。
織姫と彦星が会うために、カササギが橋をかけてあげるなんて、知らなかった。
本には、新暦と旧暦の両方で七夕を楽しめるよう、
新暦には、まだ天の川がかかっていない暗い空に待つカササギを、
旧暦には、橋をかけて一休みしているカササギをあらわした、
ふたつの「カササギ」というお菓子がでてくる。
 
読んでいるうちに和菓子が食べたくなり、和菓子をもっと知りたくなりました。
そして、和菓子の背景にあるのは日本の古典や、昔ながらの行事と物語。
和菓子を味わうのに、なにより必要なのは、教養でしょうか。