お茶の武田先生を演じる故・樹木希林さんが言う。
「こうしてまた初釜がやってきて、毎年毎年、同じことの繰り返しなんですけど、でも、私、最近思うんですよ。こうして毎年、同じことができることが幸せなんだって」
じわりと、涙がでた。
今年はお花見ができなかった。
ボケや梅の花が咲いてくるのを眺め、アスファルトの隙間にオオイヌノフグリの青い花を見つけながら歩く、春の散歩も。
来年は今年と同じようにやってくると思って、色々計画するけれど、来年は同じようにやってくるとは限らない。
ずっと同じように続くと思う毎日は、いつもふと油断した時に終わる。
来年どころか、来月だって、来週だって、明日だって、いやいや、次の瞬間だって、私たちには保証なんかされていないのだ。
だから、今の瞬間に集中して、感謝して、今を生きていくしかない。
「日日是好日」は、原作が好きで何度も読んでいるエッセイである。
原作のイメージが壊れたら嫌だなと思って映画は観ていなかった。
だって、エッセイだもの。設定やトピックが変更されたらたまらない。
だけど、wowow で放映されたのを機会に観てみたところ、原作を壊すことなく、別の魅力をもった作品になっていた。原作から選択した部分もいい。
だって、エッセイだもの。設定やトピックが変更されたらたまらない。
だけど、wowow で放映されたのを機会に観てみたところ、原作を壊すことなく、別の魅力をもった作品になっていた。原作から選択した部分もいい。
毎年同じことができる幸せ。
故・樹木希林さんが言うと、また別の重みを感じて切なくなる。
改めてご冥福をお祈りします。
